「ご、強引って…、」

大地はにやりと笑った。
何を考えているかわからない笑顔のため、依奈は戸惑う。

「…幾多奏と、会えないようにしてあげる」

ドクン、

心臓が大きく跳ねた。
冗談ではないと感じさせる表情で彼女を見たのだ。

「そんな…」
「言っとくけど、冗談じゃないよ」

「…。」
「幾多さんの親の会社、倒産したんだよね?」

こくり、と小さく頷く。

それ以上は何も言わなかった。

「ご飯できたけど…」
恵美がエプロンを外しながら来た。

「依奈、どうしたの?」

彼女の瞳が不安そうに揺れている。

「大地、アンタ何かしたんじゃないでしょうね!」

「してないよ。ね?」

頷くしかなかった。
依奈は無理やり笑顔を作り、立ち上がる。

「恵美ちゃんの手料理久々だー」
「…レトルトのカレーだけどね」

「手料理じゃないじゃん。」

恵美は料理があまり得意ではないらしい。