「痛って~!軽い冗談だろ!」
奏は無視して、依奈の腕をひいて体ごと引き寄せる。
そしてクラス中が注目するなか、にやりと笑ってこう言った
「…コレ、俺の。」
呆気にとられた様子の生徒に心の中で、
(手だしたら殺す)
と訴える。
きゃあああぁぁああ!
数秒遅れて歓声があがった。
ぽかんとしている依奈の頬をつねり、奏は口を開く。
「何惚けてんだよ」
「…う、ううん、奏くん、かっこいいなあって…」
「今更かよ」
そんな二人を見て、秋が呟く。
「…なんか悔しいけど、お似合いだよなあ」
「せやな」
恵美は微笑ましい表情で二人を見た。
「…何みてんだよてめーら」
奏は不機嫌そうに言う。
「らぶらぶの幾多夫婦」
薫がそう言えば奏は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「うっせーな!」
「…いーなあ奏!」
秋が唇を尖らせる。
そんな彼等の光景を見て、笑みを見せながら廊下にでた生徒がいた。
「…ほしいなァ、幾多依奈」
