「こらー!そこのバイク止まりなさーい!」
巡回中の警官に見つかった。
捕まると面倒だ。
「けっ、警察っ…」
依奈は絶句した。
悠真はちらりと後ろを見た。
丁度、パトカーの後ろに薫が歩いている。
このまま逃げきってもいいが、依奈がいる分速度が落ちる。
「できるだけ、パトカーに近づく」
「な、何言って…!?」
「パトカーを飛び越えろ」
そんな無茶な。
できるわけないと言えば悠真はにやりと笑う。
「二人で捕まるか?」
「飛びます」
捕まりたくない。
「合図したら薫に向かって飛べ。」
「か、薫くんは大丈夫なの!?」
「当たり前だ」
どこからそんな自信が来るのだろう。
考えているうちに、徐々にパトカーに近づいていく。
依奈は悠真の肩に掴まりながら立った。
「な、何をしている!」
警官が声を張り上げた刹那、合図があった。
「飛べ」
