地味なあたしと不良軍団

「…俺、寝るわ」

じゃ、と言い返事をまたずに通話を終了させた。

携帯を軽く投げ、ぼふっと布団の上に倒れ込む。

「依奈ちゃん、なんて?」
「…別に。なんも。」
「そっか」

きっと、何か知ってしまったのだろう。
奏の落ち込みように秋も表情が消えた。

「奏、」
「…」

「おやすみ」
「おー…」

電気が消えた。
暗闇の中、目を閉じた。













*

「~っ!」
悲鳴を必死で堪えた。
スピード違反。

悠真のバイクの後ろに乗り、学校まで走る。

「ゆゆゆうまくん!」
「んなのでビビってんなよ」

依奈はいつもの眼鏡+おさげスタイルに戻っていた。

眼鏡は家政婦が今朝くれたのだ。
依奈の姿をみて驚いていたらしい。

髪が靡く。
道行く人の視線を集めている。

「なんで地味なこが…」
「にあわなーい」

まただ。
いい加減、こんなセリフに慣れた依奈は気にしないようにしていた。