「…おちつかねえ」
一方、秋の部屋。
床に布団を敷き横になっている奏は呟いた。
「なあ、奏」
「あ?」
「俺、依奈ちゃん好きなんだよな…」
遠慮がちに言った。
奏は 知ってる と返す。
「遠慮なんかいらねえよ。…秋らしくない。」
「けど、奏も好きなんだろ。」
「うん」
当たり前だ、と言うように強く頷いた。
秋はいいにくそうに口を開く。
「薫が言うには、依奈ちゃんは薫が好きらし「バカかよ」
言い終わる前に言葉を遮る。
「あいつが誰を好きでも関係ねぇし」
「奏は強いな!」
「べつに。」
ただ、とられたくないんだ。
誰にも、渡したくない。
♪~♪~
携帯が鳴る。
【着信: 依奈】
ピ、
「…何」
そっけなく返せば電話の向こうの彼女は戸惑った。
『…声、聞きたくて。悠真くんも寝ちゃったから』
この状況で寝れないのだと言った。
