「…はあ。」
ぱたん、と更衣室のロッカーが閉まる。
「依奈、気にしなくていいんじゃない?あんな奴等のことなんて。」
「…うん。」
「幾多奏、依奈のこと見てたね。」
恵美も気付いていた。
依奈は眼鏡をかけなおし、頷いた。
腹違いの弟だと言う事を知っている彼女には、何でもお見通しらしい。
二人は校庭にでて、整列した。
「よーし、今日は女子はテニスだ!」
明るい、教員の声に依奈は泣きたくなった。
まわりの生徒が喜ぶ中、依奈だけは違う。
「はあ…」
「男子は隣のコートでバドミントンだからな。女子を厭らしい目で見てるなよ~?」
「よっしゃ!見ようぜ!」
「巨乳がターゲットだな」
そういう会話が聞こえ、恵美はため息をついた。
「恵美!一緒にしよ!」
「いいよ!」
恵美は依奈と違って明るく気さくな為に友達が多い。
おいてかれた気分になった。
1人ラケットを握りしめ、テニスコートへと向かう。
