「私も頑張って見るわ。」
歳の差なんて関係ないもの。

「はいっ!お互い頑張りましょうっ!」

ひしっ!
と二人で手を握りあった直後、ガラリと浴場のドアが開いた。

「依奈お姉ちゃん♪」
「美紅ちゃん。」

浴槽に飛び込み、彼女は依奈に抱きついた。

「やわらかあ~い!」
「そういう美紅ちゃんも。」

「ねえねえ、依奈お姉ちゃんはお兄ちゃんと付き合わないの?」

ピシリ

空気が凍った。
家政婦は依奈を凝視する。

「うん…あたし、好きなひといるから」
恥ずかしそうに告げれば美紅は目を見開く。

「え!だれ!?」

「…あたしの弟だよ」
「おとうとぉっ!?」

美紅だけでなく、家政婦までも目を見開く。

「腹違いなの。」

結婚はできない。
けれど好きな事に変わりない。

(依奈お姉ちゃんが好きな弟って…前に家に来た人かな…)

美紅は奏の顔を必死で思いだそうとする。