ざばぁっ!
依奈は急に立ち上がった。
「か、家政婦さん!」
「え?」
「あたし、あたし…」
たしかに薫が好きだった。
たしかに恋だった。
けれど今は、違う。
一番側にいてくれて
一番に理解してくれて
これからもずっと一緒に居たいと思うのは、
ただ1人だったという事に気づいた。
一度離れてみないと気付かなかった。
悠真に感謝しなければ。
「あたし、気付きました…」
「好きなひと?」
「…はい。今まで近すぎて分からなかったけど離れてみてやっと分かりました。」
気付かせてくれてありがとう!
依奈は微笑む。
家政婦はぼっと顔を赤くした。
次にあった時に想いを伝えよう。うん、そうしよう。
今まで家族愛だと自分で思い込んでいた。
けれどそれは間違いだったらしい。
「…依奈ちゃん、あなた、すごく綺麗ね」
「へ?」
