「さっきはごめんなさいね。あなたの事、彼女と思っていたから」

家政婦は依奈を見た。

整った顔立ち、
自分より遥かにある胸。
若さ。

すべてに置いて負けた気がした。

「…あたし、年齢なんて関係ないと思います。」
「え?」

家政婦の心境を見透かしたように依奈は言った。

「好きになったら、好きなんです。年齢もなにも関係ありませんよ」

だから、家政婦さん。
大丈夫です。

「…」
家政婦はぽかんとした。

この子は自分より大人みたいだ。

悠真を見ていればわかる。きっと、彼は依奈が好きなのだ。

「…どうして、悠真様を選ばないの?」

好きなひとがいるの?
家政婦は本当に不思議そうに問う。

「…わからないんです」

「そう、でも、あなたが気付いてないだけで心から好きって思える人がいるのかもしれないわ」

家政婦の言葉に依奈は考える。

…好き?

…奏くん。

「あれ?」
会いたい。

彼に、会いたい。