MeLdy~メロディー~


やっぱり彼は
爽やかの代名詞
みたいな人だった。

穏やかな笑みは
どことなく
人懐っこさ
が感じられる。

「お上手だと、
 思いますよ。」

『…ありがとう
 ございます。』

なんだか
言わせた感満載の
褒め言葉だけど、

褒められる事自体
慣れてないアタシは
その言葉に再び
戸惑いながら
楽譜をめくる。

ココに来るまでに
決めた事があった。

彼がもし、
今日も現れたなら

彼のリクエストを
聞こうと。

『何の曲が
 好きですか?』

「え…、」

『お礼に歌わせて
 下さい。
 上手く歌えるか
 わかりませんけど…』

そんな問いに
一瞬考える素振りを
見せた彼だけど

意外にも
返事は早かった。

「なら、──。」

彼のリクエストは
アタシも大好きな
アーティストの曲
だった。

知ってる曲で
良かった、

内心そぉ思ったのは
秘密の話。

楽譜も用意されてるのは
その曲自体
アタシも大好きだから。

彼の視線を
感じながら、

アタシはゆっくり
ギターを鳴らし
始めた。