MeLdy~メロディー~


―7時半

いつものよぅに
ギターを弾いてたら
やっぱり彼は現れた。

由榎莉との会話を
思い出したアタシは、

元々そんなに
ある方でもない
小さな勇気を振り絞り
顔を上げる。

『こんばんは。』

静かなココでは、
アタシの声だけが
よく響いて

少し不気味だ。

「こんばんは。」

とりあえず
返ってきた返事に安堵。

無視でもされたら、
それこそ気まずい。

『毎晩、
 来てくれてますね。』

アタシが声を
掛けたからかな?

いつもより少し
近くなる距離に
若干戸惑った。

「すみません、
 ご迷惑でしたか?」

『いえ、寧ろこっちこ。
 下手くそな歌、
 聴かせちゃって
 すいません。』

1つの電灯の下。

1週間以上経って漸く、
初めて彼の顔が
見える程に
距離が縮んだ。

初めて見る彼は
思った以上にずっと
好青年っぽさが
滲み出ていて、

そんな表情に
妙に納得している
アタシがいた。