MeLdy~メロディー~


知り合いかな?

それとも
ただの冷やかし?

どっちも嫌だけど…
まだ後者の方が
マシかもしれない。

ぐるぐると頭を
駆け回る、嫌な想像。

それでもまだ
その人は動かない。

『…あの、』

意を決して
絞り出した声は
僅かに震えている。

でも、
何か言わなくちゃ
なんの進展も
ないままだし…

そんなんじゃ
こっちの心臓が
もたないもん。

この嫌な状況だって
変わらないし。

アタシにしては、
機転が効いた方
だと思う。

『…聴いて…
 たんですか…?』

アタシの声は
確かに“その人”に
届いたと思う。

証拠にその人は
ゆっくり腰を上げたから

…って!
近づいて来るのは…
まずいよ、まずい!

だってホラ
逃げ道ないもん!

『…あ、あの、
 アタシ、別に!』

何についての弁解なのか
自分でもよく
分からないけど
口走ったのは
謝罪や言い訳。

せめてもの抵抗にと
分厚い楽譜を手にし、

念のためギターは
置いた。

このギター、
高かったんだもん!

傷つけたくない。