佐竹さん、あの後帰ったんだ・・・

あの時あたしは無我夢中で佐竹さんの腕から逃げ出した

後ろを振り返ることもなく、千颯くんに会いたかった

「ねっ?玲?やっぱ何かあったんでしょ?」


黙り込んだあたしを覗き込むように首を傾げる美咲ちゃん


「っ・・・あの、ね?美咲ちゃん・・・」

「うん」


あたしはゴクリと唾を飲み込んだ

「あっれぇ?美咲ちゃんと葉山さんじゃない?」

席の後ろからの声であたしの口が閉じた


「あれ?野間さん?、・・・佐竹さん」


美咲ちゃんの言葉にびくりと身体が震えた