あたしにだって、千颯くんがあたしを大切にしてくれていたってわかってる
わかってる
だからショックだった
絡みついた腕を払うことなく彼女に笑顔を向けていた千颯くん
あたしを見るなり離れた腕
まるであたしを見なければ、ずっとそうしていたかもしれない
浮気現場を見た訳じゃない
キスだって、バグだって
千颯くんはあたしにしかしてないって信じたい
のに
千颯くんからはあの日から一度もメールも電話も、会いにも来てくれない
会ったら許したかもしれないし、ちゃんと千颯くんの話も聞けたかもしれない
けど、千颯くんは来ない
だから「終わった」

