「ちはやくんじゃなきゃ落ちないんだね、玲って」


“千颯くん”

久し振りに聞いた名前


「・・・美咲ちゃん・・・あの、ね、千颯くんとは・・・別れた」


んだと思う


あたしを追って来た千颯くんにひたすら「会いたくない」「聞きたくない」と拒み続けたあの日


千颯くんも諦めたのか、ご近所迷惑だと思ったのか「わかった、ごめん、玲」って言ってドアから離れていった


だから「終わった」んだと思う


「なにそれ、いつの間にそうなってんの?」

「・・・はじめから訳の分からない付き合い方だったから・・・」

「ちはやくんだってあんなに玲にベタぼれだったじゃない」


「・・・」