お母さんたちの乗った車を見送ってから、アパートに入ろうとしたら・・・
「千颯!待ってよ」
“ちはや”
そこの言葉にあたしは振り返った
“それ”を見たときに一瞬で後悔した
ズキズキと痛み出した身体の中心
「っ・・・」
それはまるでマンガのようにピタッとはまったカップル
千颯くんの腕に絡みつけた華奢な腕
千颯くんに向けられた太陽のような笑顔
「放せよ、真名」
「い・や・よ、良いじゃん公認カップルなんだし?」
公認?
カップル?
あたしは二人から逃げるようにアパートに駆け込んで、エレベーターのボタンを連打した

