「……あ…。」
どうする事も出来ずにただ立ち尽くしていると、さっきまで里菜がいた場所に、大地も見覚えがあるものが、置いてある事に気付いた。
いつの日だったか、ものすごく嬉しそうに“それ”を手にし、幸せそうに笑う里菜の顔を見た事があった。
思い出した。
今日もさっきまで里菜の細い腕に付けられていたハズの“それ”は、今は持ち主不在となり静かに確かにそこにある。
雄也に買ってもらった
初めてのプレゼント
ハートのブレスレット…
あれだけ外す事が出来なかったものを、里菜はどんな心境で置いていったんだろう…。
里菜は今が外す時だと、感じ意外にもあっさりとそれに従った。
美緒も見届けていた。
「帰りに何か見ていこうか」
里菜の耳元で小さくこっそり話しかけた。
里菜は、くすっと笑い小さくうなずき“それ”をそこに置いていった。
