鏡の中のアタシ。




「……あ…。」

どうする事も出来ずにただ立ち尽くしていると、さっきまで里菜がいた場所に、大地も見覚えがあるものが、置いてある事に気付いた。

いつの日だったか、ものすごく嬉しそうに“それ”を手にし、幸せそうに笑う里菜の顔を見た事があった。

思い出した。


今日もさっきまで里菜の細い腕に付けられていたハズの“それ”は、今は持ち主不在となり静かに確かにそこにある。



雄也に買ってもらった

初めてのプレゼント


ハートのブレスレット…


あれだけ外す事が出来なかったものを、里菜はどんな心境で置いていったんだろう…。

里菜は今が外す時だと、感じ意外にもあっさりとそれに従った。

美緒も見届けていた。

「帰りに何か見ていこうか」

里菜の耳元で小さくこっそり話しかけた。

里菜は、くすっと笑い小さくうなずき“それ”をそこに置いていった。