「……財布。」 里菜は、それだけ言ってだまってしまった。 「!?」 でも… 雄也にはそれで充分だった。 「…大学きたのか?大地に会ったんだな?」 雄也の何かを確信したような声に、消えかけていた胸騒ぎがまた現れた。 顔を見るのも怖くて、里菜は小さく頷いて答えた。 「大地になにか言われたか?」 何か言われた。 と、言う表現は間違ってると思う。 だから、なんて答えたらいいかわからなかった。 だけど… 昼間の大地の顔が頭に浮かんできて、一言 「怖かった…」 と、だけ伝えた。