鏡の中のアタシ。




「………大地…君…?」



「何してんだよ。」


大地は、里菜を睨み付けたままで、里菜の言葉には耳も貸さず、ただ冷たく言い放った。


「何って、え?…あ、財布!雄也クンがお財布を忘れていったから、困るんじゃないかなって思って…」


里菜は、大地が睨み続けているのが怖くて、小さな声で答えた。


なんで大地がこんなに怖く感じるんだろう…。
あんなによくしてくれたのに…。

確かに雄也クンとは一回気まづくなっちゃったけれど、今は仲直りして、すっかり前よりも仲良しだ。


「チッ……まだあいつの周りウロウロしてたのかよ。」

大地は舌打ちして、ため息をつく。


「はい。」

突然出された大地の手。
躊躇したけど、起こしてもらえるのかと掴もうとする里菜。

「財布」

大地は一回だした手を引き、汚いものでも見るかのような目で里菜をみながら言った。


「え?」

里菜は、せっかく来たんだから、直接渡したかったし、都合さえ合うなら一緒に帰りたいというつもりだった。

「渡しとくから、早く帰れ。」

大地は、里菜の手から雄也の財布を奪い取るとそのまま歩いて行ってしまった…。