そんなある日、俊介はフッと思い出した。
『現実に疲れた貴方。せめて、夢では楽園を。それが、そう。これ、夢枕です』
確か電話番号は………
携帯電話を手に取り、番号を入力した。
「プルル…プルルルル」
虚しく時間は過ぎていく。

しばらくすると、電話が繋がった。
「はい。お電話ありがとうございます。貴方の夢に、素敵な楽園を。夢枕センターです」
明るい声の女性だった。
テレビで買い物をしたことのない俊介は、対応に少し困った。
「あの、テレビで見たのですが。夢枕を……」
俊介が話してる途中だったが、割って入ってきた。
「あっ、はい。ありがとうございます。では、電話番号とご住所をお願いします」
「あっ、あの。お値段の方は?」
「只今、キャンペーン中でございまして。一ヶ月間は無料でございます」
無料の言葉に、俊介はすぐに決断した。
「あっ、そうなんですか。電話番号は……」
そのあとはスムーズに進み、三日後には夢枕が届くのであった。