問題が起きたのは、俊介がバイトを始めてから一ヶ月後のことだ。
レジ計算したら、マイナス二万円の結果が出た。
原因は昨日。
レジをやっていない俊介は、自分は関係ないと思っていた。
しかし……
「昨日の午後の二時頃ですけど。自分がトイレに行ったとき、浜口さんだけでした。もしかして……」
高校生ぐらいの、名前は……出てこない。

奴の言葉に、俊介は理解できなかった。
確かに昨日はバイトがあったが、それは午後の六時からであった。
それを説明したが、店長の目は疑ったまま。
俊介は近くにあった勤務表を取り、店長に見せた。
「ほら。ここに……えっ!?」
勤務表に書いてあった俊介の時間は、午後一時からであった。
「そ、そんなはずは。で、でも、私はやってません」
店長から返ってきた言葉は……
「……クビだ」
みんなが俊介から離れていった。
そのとき、奴は俊介を見て笑っていた。
二万円を手に持ちながら。