その間、何を考えていたか。
覚えていたのは、現実のリストラと夢で見たリストラが、脳内で駆け回っていた。
すべてが夢ならば……俊介はそう思っていた。
テレビの声で、フッと我に返った。
いつ電源を入れたか。
それさえも記憶にない。
電源を消そうとしたが、あるCMが目に入った。
それが、俊介の人生を変えた。

「現実に疲れた貴方。せめて、夢では楽園を。それが、そう。これ、夢枕です。」
明るい女性の声が、ハキハキと喋っている。
画面には一見普通の枕。
それに、俊介は目を奪われた。
「電話番号は、0120………」
他のCMに移ると、俊介はすぐに電源を消した。
………夢に楽園、か。
夢がどれだけ幸せでも、現実が絶望だったら意味がない。
俊介は馬鹿馬鹿しく感じた。