「芽衣」

心配そうな華の声で我に返り、慌てて答えた。

「あんな男、知らない」

「そっか」

そう言う華は、やっぱりほっとした様子だった。



「あの人とは関わらない方がいい」

「…え？」

「あの人と関わるとろくなことない」

「…えぇ？」


予想外の華の言葉に戸惑った。
華は一馬を好きではないらしい。
それより、むしろ嫌っているという様子だ。
「ろくなことない」。どういう意味なんだろう。
必死で考えているあたしを、華は心配そうな目で見ていた。




「芽衣ちゃんと関わると、ろくなことない」

そう言って、中学生の時に友達が去っていったことを思い出した。

あたしと関わると、あの不良たちにいじめられるから。
だから友達も出来なかった。


昔のあたしと一馬を重ね合わせていた。