黙ってうなずく一馬。

あたしはそんな一馬のシャツをぎゅっと握りしめた。



「心配かけて…申し訳ない」

神原さんは元気そうに努めて笑うのだが、声を出す度に痛そうに顔を歪めた。

本当は、声を出すのさえしんどいに違いない。
それでも懸命に一馬を見て、言葉を繋いだ。



神原さんの傷ついた腕には黄色い輸液が挿管され、左足は包帯でぐるぐる巻きにされている。
そして、心電図が無機質な音を奏でていた。




「神原さん…俺…」

一馬が口を開いた途端、苦しそうに神原さんが言葉を発する。
ガラガラな声で、顔を歪めながら、一馬に言った。


「気に…するな。
お前はもう…関係ない」

「でも…」

「お前らしく…ない」


そう言って、神原さんは激しく咳き込んだ。
ゴホゴホという音と、苦し紛れの喘鳴が聞こえた。