中央病院三階。

静かな個室に、その人はいた。


ノックをして部屋に入るあたしたちを、彼は優しく迎えてくれた。

彼を見た瞬間、あたしの鼓動が速くなった。




一馬にそっくりだったから。

微かに記憶に残る、昔の一馬に。






金髪のウルフヘア。
大きなピアスの穴。
ほとんどない眉毛。
でも、その瞳は優しげだった。





「一馬…なのか…?」

そう彼は言った。

目の前の一馬があまりに別人になっていたから。
不良たちが言ったみたいに、狂気が感じられないから。

だから、神原さんには分からなかったのかもしれない。