「やだっ、そんなわかりやすい?」

「あー、大丈夫。俺が天才過ぎるだけだから」


笑う華原君。


「で、どう? 来れそうか?」


華原君の視線が私と伊織ちゃんを見て、私は伊織ちゃんに瞳で尋ねる。

そうすれば伊織ちゃんはひとつだけ頷いて、私も華原君に頷いてみせた。


「応援しに行くね」

「やっり! じゃ、時間と場所はあとでメールすっから」

「わかった。部活頑張ってね」

「おう。んじゃな」


軽く手をあげてから華原君は私と伊織ちゃんの間を通って廊下を歩いていく。

見送っていると伊織ちゃんが私を肘でつついた。


「結衣ってば華原君と仲良かったの?」

「え、えっと……」


まだ伊織ちゃんに自分の気持ちを打ち明けていなかった私は少し焦ってしまう。

それに、彼女がいる人を好きになってしまったなんて……なんとなく言えなくて。