「試合って、テニス部の?」


まさか誘ってもらえると思ってなかった私の心の中で、嬉しさが広がるのを感じた。


「そ。前に見てみたいって言ってたろ? 俺が勝つとこ見せてやんぜー」


余裕そうに言って華原君は伊織ちゃんを見る。


「古賀もヒマなら一緒にさ」

「えっ、わ、私も?」


焦って自分を指差した伊織ちゃん。

ウンウンと縦に首を振る華原君は声を小さくして話す。


「海も出るし、なんなら紹介してやるけど?」


予想もしなかった華原君の言葉に私と伊織ちゃんは目を丸くしてしまった。

そんな私たちの表情に華原君が満足そうに笑って。


「俺ってば天才だから気付いてたんだぜ~? 古賀がここに迎えに来る度、誰を目で追ってたか」


華原君が言うと伊織ちゃんの頬が見る見る赤く染まっていく。