知らなければならない。
でないと、それこそ華原君が言ったように前に進め──‥


「──あ」


同じだ。
あの時、華原君は私に好きな人がいるかどうかを聞いてきた。

はぐらかした私に彼が言った言葉。

それが私の気持ちと同じところから来ていたとしたら?

華原君の大切が変わろうとしていると言う真柴君の言葉の意味も繋がる気がする。


いつの間にかお弁当を見つめていた私に、真柴君の声が聞こえてくる。


「ユウは今、必死にもがいてる。理由は俺からは話せないが、多分……一番苦しい時かもしれない」


立ち上がる真柴君。
彼はゴミをくしゃくしゃに丸めて手の中に収めると言った。


「あとは天音次第。頑張れよ」


微笑んで、真柴君は屋上から姿を消した。

残された私は、まだ少ししか手をつけていないお弁当を見つめる。