ここが結衣の過ごした教室。 結衣が彼と過ごした、教室。 私はふいに、ギュッと胸が押し潰されるような感覚を覚えて、逃げるように教室を出ようとした── その時。 『 伊織ちゃん 』 かすかに聞こえた結衣の声。 驚いて足を止め、教室を振り返れば…… もちろんそこには誰もいない。 それでも気になった私は、なんとなく歩きながら結衣の机の前に立った。