恋の唄



指でなんとなく開いたページ。

そこにある日付を見て、俺は僅かに目を見開いた。


「この日って……」


それは、結衣にとって最後の日記になった日。

白い紙に綴られた文字は、見慣れ始めていた結衣の文字……

ふと、教科書にイタズラ書きし合ったのを思い出して、胸が押し潰されるような感覚に陥る。

その感覚から逃げようと深く息を吸い込んでから俺は、ゆっくりと心に刻むように、結衣の文字を目に焼き付けていった。