恋の唄



たくさんの花に囲まれた結衣の遺影。

その前に横たわる棺に近づいて、俺は眠る結衣の顔を見下ろした。


「……結衣」


いつだって隣りにいた結衣は、呼べば応えてくれた。

なのに今はもう、何も応えてくれない。

いくら呼んでも……結衣の声は返って来ないんだ。

そう思った時だった。
視界に、さっきまでなかったものが棺で眠る結衣の胸元にある事に気付く。

それは、いつだったか一度だけ見た事のあるノート。

甦る記憶。