恋の唄



「華原君」


扉が開いて現れたのは古賀。


「お待たせ」


そう言って、廊下に出るように促された。


「結衣のところに行って」

「……は?」

「結衣の話し……聞いてあげて」


泣きそうな古賀の表情に俺は何も聞くことは出来なかった。

ただ、古賀に言われたとおりに眠る結衣がいる部屋に歩みを進める。

通夜はもう落ち着いたのか、どこかの部屋から食事をする大人たちの声がしてて。

俺はそれをぼんやりとどこかで聞きながら、結衣がいる部屋に入った。