その日初めて、時間は残酷だと思った。
現実から目を背けようとしたって、時間は勝手に時を刻んで俺の背中を押す。
結衣を送り出せって、無理に急かした。
駅前で海と待ち合わせて、重い気持ちのまま結衣の家に到着する。
家の前にはすすり泣くクラスメイトがいたりして、ますます気持ちが重くなった俺は足を止めた。
「……ユウ」
隣りを歩いてた海が俺より少し前で止まって、名前を呼んで促す。
ことばにはしないけど、結衣の死から目を背けるなって言われてるのがわかって……
「ああ、行くよ」
小さく声に出すと、気の進まないまま足を前に動かした。



