夏休みの教室には誰の姿もなく、俺は自分の席に座った。

昨日、この教室で結衣が一人何をしていたのか。

今となってはそれを知る事が出来ない。


「結衣、何でここだったわけ?」


当然、隣りの席に問い掛けてみても、返事はなくて。

電話しても、留守電に切り替わるだけ。

メールしても、返信は来ない。

いつまでたっても、この席の隣りに結衣が座る気配がない。

もう、どこにもいないのか? なんて……


そんなのは、俺が一番良く分かってるはずなのに。


あの日、最後まで手を結衣の手を握っていたのは俺だったんだから。



だけど俺はまだ、認めたくないんだ。


結衣、お前が



死んじまった事を。