本当は、部活なんて気分じゃなかった。

だけど……じっとしてるとあの光景が頭から離れなくて。


結衣の笑顔。

クラクション。

耳を裂くようなブレーキ音。


「っ!」


振り切ろうと頭を左右に振った途端、ふと昨日の結衣の言葉を思い出した。


『学校の教室だよ』


部活にも入ってない結衣が、俺と会う前にいた場所。


「ホント、何で学校なんか……」


口にしながら、俺は結衣の姿を探しに教室に向かっていた。