屋上に吹き抜ける柔らかい夏の風が真柴君の髪を揺らす。 言葉が、私の心を揺らす。 「心配しないでいい。ユウも話すかどうかを迷ってる。だから、嫌がる事もない」 むしろきっかけになっていいと告げて、真柴君は私のお弁当箱からからあげをひとつ取った。 「アドバイス料な」 ニッと笑って頬張ると、彼は伊織ちゃんに向かって笑みを残し…… 屋上から姿を消した。 動かせるのは私だけ。 どうか 勇気を。