恋の唄



花火の日、家に帰った私はどうしようもなく不安定で、伊織ちゃんに電話した。

そこで初めて自分の気持ちを明かしたんだ。


華原君の事が大好きな事。
彼女がいるのなら、友達として支えになりたいと思ってる事。

そして、あの日ぶつけられた華原君の想いと言葉。

私の身勝手な決意。


全部を、伊織ちゃんに話した。

伊織ちゃんは「バカだなぁ」と優しく笑って。

それから、純粋過ぎるんだよと悲しそうに言った。

「ごめん」と謝った私の言葉は、伊織ちゃんに向けられたようで、華原君に向かっていたのかもしれない。

とにかく、そこからは泣いてしまって慰められる一方だった。


それから今日まで、伊織ちゃんには気を使わせてしまっている。

だから多分、屋上に行こうと言ったのも、私に気を使っているからなのかもしれない。