「気分転換になるかわかんねーけど、一緒に見ていくか?」

「いいの?」

「当たり前だろ。色々まわってみようぜ」


笑みを浮かべて華原君はクイッと親指で「行こう」と合図する。

私はそれに頷いて、彼の隣りを歩いた。


「まずはH学園の試合でも見てみるか」

「うん」


H学園って確か名門だったっけ。
結構スポーツで有名だって聞いたことあるけど──


「結衣」


思考を巡らせていると、隣りを歩く華原君が私を呼んだ。

返事をせずに華原君に視線を向けると、彼の瞳に私が映る。


「来月さ、花火大会があんだろ?」

「学校の近くの?」

「ソレ。一緒にさ、気分転換に行かねぇ?」