昨日の事が影響してるなんて華原君には言えない。
それは私の心の問題だし、そんなものを押し付けて華原君を悩ませたくない。
特に……
『出口が見えない真っ暗な場所に閉じ込められたらどーする?』
暗闇でもがいているのかもしれない今の華原君には。
「えっと……気分転換に」
出てきた言葉は曖昧なもので、案の定華原君は無言で私を見ている。
「か、華原君は? 今日はどうしたの?」
どうにか私の話しをされないようにと話題を振れば、華原君は一度俯いて……
顔を上げると、いつもの華原君に戻ってくれた。
「他校の試合を見に。偵察みたいなモンか」
「そうなんだ。さすがだね」
言葉を紡ぐと、華原君は「まあな」と言って気を良くした様子を見せる。



