ウィ~ン…ウィ~ン 「はぁ~。」 溜息一つ付いた時だった。 「あれぇ~、鶴見君。何してんの? こんなとこで。」 振り返ると、同期の北山 絵里香(キタヤマ エリカ)がいた。 「あぁ、上川さんに頼まれて」 「へぇ。あの人、人使い荒いって噂だからねぇ。」 「そうなんだよな。」 「あの人の下に付いた人、絶対泣かされるって聞くよ? 鶴見君、気の毒だね。」 「人を気の毒がるな。余計に虚しくなるから…。」 また一つ溜息が出た。