草食系部下と私様上司

俺達は、力の限り走った。


微かにだけど、後ろから走ってくる音がした。


角を曲がって、狭い路地に入った。


「はぁ…はぁ…はぁ…。」


俺も上川さんも肩を上下させて、荒い呼吸をした。


「どう…します…か?
警察に届け…ますか?」


「待っ…て…誰か突き止め…ないと…解決しない…。」


「分かり…ました。」


俺は、路地から半歩出て、ストーカーの様子を伺った。


少し遠いけど、一人の男がウロついていた。


「上川さん、あの男見覚え有りますか?」


俺の後ろから、ヒョコッと顔を出して、男を見た。



「遼……?」