「降ろして…。
自分で歩くわ。酔い醒ましに。」


そっと俺は、上川さんを降ろした。




カツン…カツン……



静かなフロアーに、俺と、上川さんの足音が響いた。


「何階ですか?」


「五階……。」


五階のボタンを押した。


エレベーターの狭い密室の中に、上川さんの、アルコールの独特な臭いが漂っていた。


「ねぇ……。
鶴見は、私の事嫌い?」


「えっ…!?」