テストが返される、なんて言っても、ホームルームで上位30位までが書かれた紙が配られるので、そこに自分の名前が無いことが判れば、あぁ、そこそこだったんだな、と思う。

と言うか、300人以上居る学年の中から30番以内に入るなんて、俺からすれば人間業じゃない。


「やっぱな! 何処にも俺の名前無いぜ!」


伸が相変わらずデカイ声で喚きだす。

お前の名前がこの紙にあったら、俺は恐らくショックで白髪になる。間違いない。

俺は隣に居た政木主馬(マサキ カズマ)に尋ねてみた。コイツもかなりのバカだ。


「お前も無いだろ?」

「勿論さ★」

「うわ、ド●ルドみたいに言うなや」


俺の周りにはいつもクラスの笑いを担う奴らばかりだ。

この場合、この紙に名前が入っていると、反逆者とみなされる傾向にある。


「やっぱ一位は学級委員長だろ?何だっけ、オトナシさん?」

「音梨梓(オトナシ アズサ)。女子の出席番号3番だろ。新入生代表挨拶してたじゃん。『校訓に基づき、、勉学、部活動に励み、規則正しい生活を送ることを誓います』なんて」

「よく覚えてんな。流石、記憶力だけはすげェな」


主馬は苦笑した。