まるで街中を全力疾走をした後のように、荒い息を吐きながら額の汗を拭い、夜統は青年を押し退けて、レイゼアの一味を見上げた。


「…あいつらをどうにかしねーと…」


こうしている間にも襲撃は止まず、近くの家の屋根が吹き飛び、爆風が俺達を撫で付けた。


「そんな状態じゃもう力は使えねーだろ! フラフラだぞお前」

「そうもいかねーだろ。このままじゃ街一つ無くなんぞ」


俺が咎めるように言えば、夜統は鋭い眼差しを空に向けたまま返してきた。

その手は再び俺の手に触れている。

力を使うつもりか、と俺が彼を見ると、肯定の代わりに手を握られた。

もう何を言っても無駄だろうと、俺は空を飛びかうレイゼアの一味を指差した。


「あいつらの武器とよくわかんねー羽を老朽化させて突き落としちゃえば?」

「……たまには頭回るんじゃねーか」


夜統は悪戯っぽくニヤリと口角を吊り上げると、再び目を伏せた。