顔を蒼白にする男に手の平をかざし、夜統は何か念じるように目を伏せると、首飾りが赤く光り始めた。


「な……」


負傷した男を支えていた青年は、珍しいものを見るように目を丸くして、夜統を見ている。

言葉も出ずに間抜けに放心しながら、熱を持ち始める右肩をぼうっと眺めた。


「……う……」


腕の付け根からメリメリと言い様のない音を立てながら、新しい腕が生えてくる。

いや、“戻ってくる”の方が正しいのだろうか。

恐らく今は、この男の右腕が無くなる前の状態に戻しているのだろう。


「…き、君……」

「うるさい、黙れ」


腕が半分ほど戻り始めて、意識を取り戻した男が何かを呟いたが、夜統は面倒臭そうに一蹴した。

その時、俺は初めて夜統の異変に気が付いた。

吐き出す息は何処か荒く、握った手は汗ばみ始めている。


「夜統……?」


腕が戻り、光が消えるのと同時に、夜統は前のめりに倒れこんだ。

腕を治してもらった男は、それを見て焦ったように夜統を支える。


「……君、大丈夫か!?」

「…何でも…ねぇよッ…」


口では強がっているが、その声は震えているし、体はかなり熱を持っている。

どうやら力を使うと極端に体力を消耗するようだ。