アズサが止めるのも聞かずに、廊下に飛び出した俺達が見たものは、煙を上げる街並と、逃げ惑う民達だった。


「こんな………こんなことが…」


俺は言葉も出ずに立ち尽くしていた。

下に降りて外に出てみると、火薬の臭いと何かが焦げたような臭いが鼻を刺し、俺は思わず顔をしかめる。

上を見ると、空に浮いている人間たちが俺達を見下していた。


「殺せ殺せ! シドラ様に逆らう愚民共を焼き払え!」


その中で隊長格なのか、一人の初老のムキムキの男が声を張り上げている。

背中に黒い羽のような物が付いている。

あれで空を飛んでいるのか。


「うぅっ、」


その時、背後から呻き声が聞こえてきた。


「大変だ…右腕を……!」


恐らくこの街の人なのだろう、申し訳程度に武装した男が、爆撃で右腕を吹き飛ばされた男を見て血相を変えている。

もう助からないだろう。

俺が彼らから目をそらすと、夜統が駆け出し、かつて右腕が生えていたところから鮮血を滴らせる男の傍にしゃがみこんだ。


「幸村! 来い!」

「えっ……」


まさか、と思い彼のもとに行くと、夜統は言った。


「俺が助ける」


俺は夜統の手を取った。