夜統は首飾りを摘むと、光に透かすように持ち上げた。


「おじいの形見がこんな形で役に立つとはな…」


どこか伏せられた瞳は優しげで、彼にそんな表情をさせる祖父の存在が気になった。


「今の力も、俺が居なきゃ使えないってこと?」

「だろうな。一回俺一人で何とかなんねェもんかと思って試してみたが、さっぱりだったからな」

「…そっか……」


俺が彼の力を引き出していることに間違いはないらしい。

赤く鈍い光を放つあの首飾りに明かりを灯すのは、俺なんだ。

───ズゥゥン!

力を使いこなし始めた夜統と談話していると、いきなり地響きが襲ってきた。


「何だΣ!?」


思わず叫ぶと、今度は乱暴に扉が開いた。


「大変よ! 奴らが……レイゼアが攻めてきたの!!」


アズサの叫びと轟音が、街に、部屋に、こだました。