混乱していた頭も日を追う毎に落ち着きを取り戻して、今ではこの世界の生活にすっかり慣れた。

住めば都とはこのことか、周りの環境に慣れてしまえば、あとはこっちのものである。

俺達二人でクリアネスだとわかってから、何か有っても護衛がしやすいように、またどちらか一人が逃げ出さないようにと、部屋を一緒にされた。

部屋自体が広いので、別に生活に支障はないのだが、如何せん気分的に乗り気はしない。

男二人で一つの部屋に居るというむさ苦しい状況の中、俺はサラダを口に運んだ。

食事を持ってきてもらえるのは有り難く見えるのかもしれないが、アズサたちは俺達を部屋から出さないようにしている。

簡単に言えば、閉じ込められているといっても過言ではないのだろうが、俺達二人が世界の方向のコンパスを持っているとなれば、話は違ってくるのだろう。


「向こうの世界は、どうなってんのかな。俺達が居なくなって、なんか変わってんのかな…」

「さーな。俺は別に問題ないけど。誰とも関わってないし」


思わず口から出た言葉は、ほぼ毎日呟いている台詞で、夜統も毎回興味無さそうに同じ言葉を答える。

帰りたい、と言う気持ちが、日増しに強くなる気がした。