鍵?

確かに、アズサとの会話で鍵という言葉は何度か出てきた。

しかし、それが実際に『物』として存在するとは聞いていなかったので、急に真剣な剣幕になったタカヒロさんに少し戸惑ってしまった。


「そうか、君が時空の守護者・クリアネスなんだね」

「…はぁ? 意味わかんねェし…。さっきも言ったろ。これは祖父の形見で、そんな大層なもんじゃねェよ」


ますます不機嫌に眉を寄せる夜統。

しかし、俺は頭が真っ白になってしまった。

夜統がクリアネスなら、それにくっついてきてしまった俺は何なのだろう。

俺には時を守る力など無いし、何よりアズサの話が正しければ俺はこっちの世界の『俺』と出会って、混乱を招いてしまう恐れもある。


俺は、どうすればいいのだろう。


「…だが、彼がクリアネスだとして、隣の君は…?」


やはり、タカヒロさんもそこをついてきた。

俺だって聞きたい。


「…そうだわ」


アズサがそこで、何か気付いたらしい。


「あなた達、二人でクリアネスなのよ」

「……へ?」


さらに混乱してきた。