俺達は、キツ過ぎて血液の流れが滞るのではないかと言うくらい堅く結ばれた拘束を解いてもらい、アズサとやらの自宅に案内されることになった。

フンワリとしたノースリーブのワンピースが、何処かに居そうなコスプレイヤーの服みたいで、凄く違和感を覚えた。


「ここよ」

「……デカッΣ」


案内された場所は、白い壁で作られた巨大な城とも言うべき建物。

門から屋敷自体までに無駄に距離があり、綺麗に整備された芝生、植木が俺達を出迎えている。

こんなの、絵本とかアニメとかでしか見ないだろ。

やはり、ここは普通の世界では無さそうだ。


「談議室に案内するわ。話はそちらで」

「あぁ…どうも…」


アズサの後ろを歩きながら、俺達はコソコソと会話をする。


「オイ、お前マジでこんなお嬢様と知り合いなんかよ?」

「知り合いって訳じゃねぇけども…同じクラスに居たろ? 音梨さんって」

「知らねーよ、クラスの連中なんか。まともに会話したのはお前が初めてだし」

「マジかΣ じゃなくて…あれは本人に間違いないはずなんだけど…」


一瞬彼女が振り向いたので、俺達は慌てて会話をやめた。